最強のふたりのあらすじ・キャスト・ネタバレ・感想・評価・レビュー・トリビアなど徹底解説
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『最強のふたり(原題:Intouchables)』は2011年公開のフランス映画。頸髄損傷で体が不自由な富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、その介護人ドリス(オマール・シー)となった貧困層の移民の若者との交流を、ときにコミカルに描いたドラマで、2011年にフランスで公開された映画の観客動員数では1位を獲得しているヒット作です。
目次
あらすじ(ネタバレ込み)
■Introduction
事故で全身麻痺となった富豪フィリップは、日々の介護を受けながらも孤独に苛まれていた。新たな介護人を雇うための面接を行うが、そこに現れたのはスラム街出身の若者ドリスだった。ドリスは失業保険を継続するためだけに応募しており、全く介護経験がなかったが、フィリップは彼の型破りな態度とユーモアを気に入り、採用を決める。
■Development
初めはフィリップの豪華な生活や慣れない介護に戸惑うドリスだったが、次第に真剣に向き合うようになる。フィリップもまた、ドリスの率直さと活力に触れるうちに心を開き始める。二人は互いに影響を与え合い、フィリップは新しい挑戦や娯楽を楽しむようになり、ドリスは仕事への責任感と成長を見せていく。
■Twist
一方で、ドリスには家族の問題があり、弟の非行や家計の苦しさに悩まされていた。また、フィリップも障がい者としての孤独や失った愛への思いを抱えていた。そんな中、フィリップの友人たちはドリスを不適任と考え、解雇を促す。しかしフィリップは、彼の存在が自分にとって必要だと理解しており、彼を信頼し続ける。
■Conclusion
最終的にドリスは家庭の事情でフィリップの元を去るが、その前にフィリップを勇気づけ、彼が新しい一歩を踏み出す手助けをする。別れた後もフィリップはドリスとの思い出を胸に秘め、彼の影響を受けて人生を前向きに生きる。ドリスもまた、フィリップとの日々を通じて成長し、自らの人生を切り開いていく。友情と希望に満ちた物語は心温まる余韻を残し、幕を閉じる。
『最強のふたり』キャスト・作品情報
キャスト
役名 | 俳優 |
---|---|
フィリップ Philippe | フランソワ・クリュゼ François Cluzet |
ドリス Bakary "Driss" Bassari | オマール・シー Omar Sy |
イヴォンヌ Yvonne | アンヌ・ル・ニ Anne Le Ny |
マガリー Magalie | オドレイ・フルーロ Audrey Fleurot |
マルセル Marcelle | クロティルド・モレ Clotilde Mollet |
エリザ Elisa | アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ Alba Gaïa Bellugi |
バスティアン Bastien | トマ・ソリヴェレ Thomas Soliveres |
アルベール Albert | クリスティアン・アメリ Christian Ameri |
アントニー Antoine | グレゴリー・オースターマン Grégoire Oestermann |
ミナ Mina | アブサ・ダイヤトーン・トゥーレ Absa Dialou Toure |
アダマ Adama, Driss's Cousin | シリル・マンディ Cyril Mendy |
エレノア Eleonore | ドロテ・ブリエール・メリット Dorothy Briere Meritte |
ナタリー・ルコント Nathalie Lecomte | ジョセフィーヌ・デ・ミオー Joséphine de Meaux |
作品情報
原題 Original Title | Intouchables |
監督 Directed by | オリヴィエ・ナカシュ Olivier Nakache エリック・トレダノ Éric Toledano |
脚本 Written by | オリヴィエ・ナカシュ Olivier Nakache エリック・トレダノ Éric Toledano |
音楽 Music | ルドヴィコ・エイナウディ Ludovico Einaudi |
撮影 Cinematography | マチュー・ヴァドピエ Mathieu Vadepied |
編集 Edited by | ドリアン・リガル=アンスー Reynald Bertrand |
製作 Produced by | ニコラ・デュヴァル・アダソフスキ Nicolas Duval Adassovsky ヤン・ゼノウ Yann Zenou ローラン・ゼイトゥン Laurent Zeitoun |
製作会社 Production Company | Quad Productions |
配給 Distributed by | 仏:ゴーモン 日:ギャガ |
公開 | 仏:2011/11/2 日:2012/9/1 |
上映時間 | 112分 |
興行収入(世界) | 約4億2660万ドル |
興行収入(日本) | 約16.5億円 |
『最強のふたり』の見どころ
実話がもとの感動作
この映画のモデルになったフィリップ・ポゾ・ディ・ボルゴは事故で頸髄損傷となり、2001年に自身のこと、そして介護人アブデル・ヤスミン・セローとのことを書いた本を出版しました。
この二人の物語がテレビに取り上げられ、2003年にはドキュメンタリーが製作されましたが、これに感化された監督がフィリップに実際に会い行き、脚本を書き上げ、映画化が実現したそうです。
映画の最後には実際の二人の写真も出てくるので注目です。
話題の若手フランス俳優オマール・シー
オマール・シーは、フランスのスラム地区に住み、6ヶ月に渡り服役していながら、脊髄損傷のため体が麻痺して不自由な大富豪で気難しいフィリップの介護人を担当することになるドリスを演じています。
爽やかな笑顔とどストレートなジョークが魅力の彼。演じているのはコメディアンでもあるオマール・シーでこの役にぴったりの俳優と言えます。
また彼はフランス映画だけでなく「ジュラシック・ワールド(2015)」や「X-MEN:フューチャー&パスト(2014)」にも出演しており、ワールドワイドに活躍しています。
共同で脚本・監督を務めたエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュは、2009年の映画「Tellement proches」でのオマール・シーとの仕事を楽しんでできたとのことで、設定を変えてまで起用しています。
フランスの社会問題をシリアスそしてコミカルに描く
移民問題や格差の問題を抱えるフランスの現状や、障害者と健常者の問題といったシリアスな問題がテーマになっており、考えさせられるシーンもたくさんあります。
一方で、正反対の性格や立場の主人公二人が織りなすコミカルなシーンも満載で、ブラックジョークからクスッと笑えてほんわかするようなジョークまで楽しめ、コメディ映画としても大満足な作品です。
数々の賞を受賞
差別などのタブーを扱いながら、高い評価を得ているこの作品。
セザール賞ではオマール・シーの主演男優賞受賞以外にも、監督、撮影、脚本等々計8部門でノミネートされています。
また日本でも高く評価されており、日本で公開されたフランス映画歴代1位の興行収入を記録。
第24回東京国際映画祭や第36回日本アカデミー賞でも最優秀外国作品賞を受賞しています。
ハリウッドリメイク
大ヒットした本作は、アメリカでリメイクされ、2019年に「人生の動かし方」というタイトルで公開されました。※後に「THE UPSIDE/最強のふたり」に邦題が変更されています。
キャストはなんと大女優ニコール・キッドマンや、フィリップ役のブライアン・クランストンはカルト的人気を博したドラマ「ブレイキング・バッド」で名を馳せた名優で、かなり豪華なキャストとなっています。
またリメイク版では設定にも少し手を加えているようで、本作との違いも楽しめます。
『最強のふたり』レビュー・評価
海外での評価
映画とテレビのレビューアグリゲーターであるRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)での評価は122件のレビューに基づく75%もの前向きなレビューで6.7/10と高評価。
Metacriticでは31件のレビューに基づくこのフィルムの平均スコアは100点中57点とこちらは割と平均的。
日本での評価
映画.comでの評価は431件中4.2と高い評価と言えます。
映画レビューサイトFilmarksでは29,430件のレビューで4.1と、日本での評価はほとんどが4以上と高評価でした。
『最強のふたり』のトリビア
・劇中では雇ったのはドリスというアフリカ系の黒人になっているが、実際はアルジェリア出身のアブデルという青年(当時24歳)でした。
・フィリップの妻ベアトリスはすでに死亡したことになっていますが、実際に彼女ががんで亡くなったのは、アブデルが家にやって来てから4年後の96年5月のこと。
・ドリスの弟が助けを求めに来たことをきっかけに、雇用関係を解消。ほんの1年程度の出来事のような印象ですが、実際には10年間にわたって面倒を見ており、2人はモロッコへ移住しますが、アブデルが現地の女性を好きになったため、アブデルの将来のことを考えて、フィリップの方から契約を解除しています。
・2012年、監督のエリック・トレダノは、世界中の車椅子ユーザーから3,000件を超えるお礼のメッセージを受け取ったと述べました。
・フィリップと出会う最初のシーンでのドリスの緊張とわずかなペースは意図的なものでした。監督は、ドリスの機動性とフィリップの不動性を対比させたかったのです。
・麻痺に苦しむ人々を支援し、高度な研究を支援することを目的とした米国の非営利団体であるクリストファー&ダナリーブ財団がこれまでに受賞した最初の映画。 理事は、2012年11月28日にニューヨーク市のこの財団からHOPE賞を受賞しました。
・ドリスがフィリップのために運転しているスポーツカーはクアトロポルテ(マセラティ)です。
・最初のカーレースでは、ほとんどのスタントはプロのスタントドライバーによって行われましたが、ある瞬間には、オマール・シーが実際に自分で車を運転しました。
・オランダでは以前の記録保持者である「サラの鍵(2010)」を破り、最も成功したフランス映画になりました。
・事務所には「記憶の固執」、フィリップの家には「My Wife, Nude, Contemplating Her Own Flesh Becoming Stairs(私の妻、裸体、階段になりつつある肉体、柱の3つの脊椎、空と建物)」と、2枚のサルバドール・ダリの作品が登場します。
まとめ
「最強のふたり」について色々まとめてみました。
シビアな題材で成功すると同じようなことをしたがる人達が増えるようにも思いますが、それだけ完成度の高い作品であると言えるかと思います。
そして完成度の高い作品としてはやはりオマール・シーの存在が大きいなとも思いました。
間違いなく名作です。
もしこの記事をご覧になった方で印象的なシーンなどありましたら、是非コメントお待ちしてます。